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● 人道 ●


 第五に、人道を明さば、略して三の相あり。
審かに観察すべし。一には不浄の相、二には苦の相、三には無常の相なり。
 一に不浄とは、およそ人の身の中には三百六十の骨ありて、節と節と相支ふ。
謂く、指の骨は足の骨を支へ、足の骨は踝の骨を支へ、踝の骨は膝の骨を支へ、膝の骨は腿の骨を支へ、腿の骨は股の骨を支へ、股の骨は腰の骨を支へ、腰の骨は脊の骨を支へ、脊の骨は肋の骨を支へ、また脊の骨は項の骨を支へ、項の骨は頷の骨を支へ、頷の骨は牙歯を支へ、上に髑髏あり。
また項の骨は肩の骨を支へ、肩の骨は臂の骨を支へ、臂の骨は腕の骨を支へ、腕の骨は掌の骨を支へ、掌の骨は指の怩を支へ、かくの如く展転して次第に鎖のごとく成れり。
 三百六十の骨の、聚りて成ずる所にして、朽ち壊れたる舎の如し。
 もろもろの節にて支へ持ち、四の細き脈を以て周り廻り、弥く布く。
五百分の肉は猶し泥塗の如く、六の脈相繋ぎ、五百の筋纏へり。
七百の細き脈は以て編絡をなし、十六の麁き脈は鉤り帯り相連ぬ。
二の肉の縄ありて、長さ三尋半、内に於て纏ひ結ぶ。十六の腸・胃は生熟の蔵を繞る。二十五の気脈は猶し窓隙の如く、一百七の関は宛ら破れたる器の如し。八万の毛孔は乱れたる草の覆へるが如く、五根・七竅は不浄にて盈ち満てり。七重の皮に裹み、六味にて長養すること、猶し祠火の、呑受して厭くことなきが如し。かくの如き身は、一切臭く穢れて、自性より爛れり。
誰か当にここに於て愛重し自慢すべけんや。
 或は云く、九百の臠、その上を覆ひ、九百の筋、その間を連ぬ。三万六千の脈ありて、三升の血、中にありて流れ注ぐ。九十九万の毛孔ありて、もろもろの汗常に出づ。九十九重の皮、しかもその上を裹む、と。
 また腹の中に五蔵あり。葉々相覆ひ、靡々として下に向ふこと、状は蓮華の如し。孔竅は空疎にして内外に相通じ、おのおの九十重あり。肺の蔵は上にありて、その色白く、肝の蔵はその色青し。心の蔵は中央にありて、その色赤く、脾の蔵はその色黄なり。腎の蔵は下にありて、その色黒し。
 また六府あり。謂く、大腸を伝送の府となす。また肺の府たり。長さ三尋半、その色白し。胆を清浄の府となす。また肝の府たり。その色青し。小腸を受盛の府となす。また心の府たり。長さ十六尋、その色赤し。胃を五穀の府となす。また脾の府たり。三升の糞、中にありて、その色黄なり。膀胱を津液の府となす。また腎の府たり。一斗の尿、中にありて、その色黒し。三・を中涜の府となす。かくの如き等の物、縦横に分布せり。大小の二腸は、赤白、色を交へて、十八に周転せること、毒蛇の蟠るが如し。
 また頂より趺に至り、髄より膚に至るまで、八万戸の虫あり。四の頭、四の口、九十九の尾ありて、形相一にあらず。一々の戸にまた九万の細虫ありて、秋毫よりも小し。
 宝積経に云く、
初めて胎を出づる時、七日を経て、八万戸の虫、身より生じ、縦横に食ひ・む。二戸の虫あり。名づけて舐髪となす。髪の根に依りて住し、常にその髪を食ふ。二戸の虫あり、繞眼と名づく。眼に依りて住し、常に眼を食ふ。四戸の虫あり、脳に依りて脳を食ふ。一戸を稲葉と名づく。耳に依りて耳を食ふ。一戸を蔵口と名づく。鼻に依りて鼻を食ふ。二戸あり、一を遥擲と名づけ、二を遍擲と名づく。唇に依りて唇を食ふ。一戸を針口と名づく。舌に依りて舌を食ふ。五百戸は左辺に依りて左辺を食ふ。右辺もまた然なり。四戸は生蔵を食ひ、二戸は熟蔵を食ふ。四戸は小便道に依り、尿を食ひて住し、四戸は大便道に依り、糞を食ひて住す。乃至、一戸を黒頭と名づく。脚に依りて脚を食ふ。
かくの如き八万、この身に依止して、昼夜に食ひ、身をして熱脳せしむ。心に憂愁あれば衆病現前し、良医も能く為に除き療すことあることなしと。
 僧伽・経に説かく、
人のまさに死なんとする時、もろもろの虫、怖畏し、互に相飲み食ふに、もろもろの苦痛を受け、男女眷属、大悲悩を生ず。もろもろの虫、相食ひ、ただ二の虫のみありて、七日闘ひ諍ひ、七日を過ぎ已りて、一の虫は命尽くれども、一の虫はなほ存すと。
またたとひ上品の衆味を食へども、宿を逕るの間に皆不浄となる。譬へば糞穢の大小、倶に臭きが如し。この身もまたしかなり。少かきより老に至るまで、ただこれ不浄なり。海水を傾けて洗ふとも、浄潔ならしむべからず。外には端厳の相を施すといへども、内にはただもろもろの不浄を裹むこと、猶し画ける瓶に糞穢を盛れるが如し。
 故に禅経の偈に云く、
身は臭く不浄なりと知れども 愚者は故に愛惜す 外に好き顔色を視て 内の不浄をば観ずと。
 いはんやまた命終の後は、塚の間に捐捨すれば、一二日乃至七日経るに、その身膨れ脹れ、色は青赤に変じて、臭く爛れ、皮穿けて、膿血流れ出づ。鷲・鵄・梟・野干・狗等、種々の禽獣、噛み掣いて食ひ飲む。禽獣食ひ已りて、不浄潰れ爛るれば、無量種の虫蛆ありて、臭き処に雑はり出づ。悪むべきこと、死せる狗よりも過ぎたり。乃至、白骨と成り已れば、支節分散し、手足・髑髏、おのおの異なる処にあり。風吹き、日曝し、雨潅ぎ、霜封み、積むこと歳年あれば、色相変異し、遂に腐れ朽ち、砕末となりて塵土と相和す。
 当に知るべし、この身は始終不浄なることを。愛する所の男女も皆またかくの如し。誰か智ある者、更に楽著を生ぜん。故に止観に云く、
いまだこの相を見ざるときは愛染甚だ強けれども、もしこれを見已れば欲心都て罷み、懸かに忍び耐へざること、糞を見ざればなほ能く飯を食へども、忽ち臭気を聞がば即便ち嘔吐するが如しと。
また云く、
もしこの相を証らば、また高き眉、翠き眼、皓き歯、丹き唇といへども、一聚の屎に、粉もてその上を覆へるが如く、また爛れたる屍に、仮に繪彩を著せたるが如し。なほ眼に見るをえず、いはんや身をもて近づくべけんや。鹿杖を雇ひて自害せるものあり。いはんや擁抱して婬楽せんをや。かくの如く想ふは、これ婬欲の病の大黄湯なり。
と。

 二に苦とは、この身は、初めて生れし時より常に苦悩を受く。宝積経に説くが如し。
もしは男、もしは女、たまたま生れて地に堕つるに、或は手を以て捧げ、或は衣をもて承け接るも、或は冬夏の時、冷熱の風触るれば大苦悩を受くること、牛を生剥ぎて、墻壁に触れしむるが如しと。
長大の後もまた苦悩多し。同じ経に説かく、
この身を受くるに、二種の苦あり。いはゆる眼・耳・鼻・舌・咽喉・牙歯・胸・腹・手・足にもろもろの病生ずることあり。かくの如く、四百四病、その身に逼切するを、名づけて内苦となす。また外苦あり。いはゆる、或は牢獄ありて、打楚撻せられ、或は耳鼻をそがれ、及び手足を削らるるなり。もろもろの悪鬼神はしかもその便を得、また蚊・虻・等の毒虫の為に食はる。寒熱・飢渇・風雨、並に至りて、種々の苦悩、その身に逼切す。この五陰の身は、一々の威儀、行住坐臥、皆苦ならざることなし。もしは長時に行て、暫くも休息せざれば、これを名づけて外苦となす。住及び坐臥も亦また皆苦なりと。
もろもろの余の苦相は眼前に見るべし。説くことを俟つべからず。

 三に無常とは、涅槃経に云く、
人の命の停まらざること、山の水よりも過ぎたり。今日存すといへども、明くればまた保ち難し。いかんぞ心を縦にして、悪法に住せしめんと。
出曜経に云く、
この日已に過ぎぬれば 命即ち減少す 小水の魚の如し これ何の楽かあらんと。
摩耶経の偈に云く、
譬へば、栴陀羅の牛を駈りて屠所に至るに 歩々死地に近づくが如し 人の命もまたかくの如しと。
 たとひ長寿の業ありといへども、終に無常を免れずたとひ富貴の報を感ずといへども、必ず衰患の期あり。大経の偈に云ふが如し。
一切のもろもろの世間に 生ける者は皆死に帰す 寿命、無量なりといへども 要必ず終尽することあり それ盛んなれば必ず衰ふることあり 合ひ会へば、別離あり 壮年も久しく停まらず盛んなる色も病に侵さる 命は死の為に呑まれ 法として常なる者あることなしと。
また、罪業応報経の偈に云く、
水流るれば常に満たず 火盛んなれば久しくは燃えず 日出づれば須臾にして没し 月満ち已ればまた欠く 尊栄高貴なる者も 無常の速かなることこれに過ぎたり 当に念じ勤め精進して 無上尊を頂礼すべしと。
ただもろもろの凡下のみ、この怖畏あるにあらず。仙に登り、通を得たる者も亦またかくの如し。法句譬喩経の偈に云ふが如し。 空にもあらず海の中にもあらず 山石の間に入るにもあらず 地の方処として 脱れ止まりて死を受けざるものあることなしと。
 当に知るべし、もろもろの余の苦患は、或は免るる者あらんも、無常の一事は、終に避くる処なきを。すべからく、説の如く修行して常楽の果を欣求すべし。
止観に云ふが如し。
無常の殺鬼は豪賢を択ばず。危脆にして堅からず、恃怙すべきこと難し。いかんぞ安然として百歳を規望し、四方に馳求して、貯へ積み聚め斂らん。聚め斂ることいまだ足らざるに、溘然として長く往かば、所有の産貨は徒らに他の有となり、冥々として独り逝く。誰か是非を訪ねん。もし無常の、暴水・猛風・掣電よりも過ぎたることを覚らんも、山に海に、空に市に、脱れ避くる処なし。かくの如く観じ已らば、心大いに怖畏し、眠れども席に安んぜず、食へども哺むに甘からず。頭燃を救ふが如くして、以て出要を求めよ。
と。また云く。 譬へば、野干の、耳と尾と牙とを失はんに、詐り眠りて逃れんと望めども、忽ち頭を断たんといふを聞いて、心大いに驚き怖るるが如し。生・老・病に遭ひて、なほ急がはしくせざらんも、死の事は奢るべからず。なんぞ怖れざるを得んや。怖るる心起る時は湯・火を履むが如し。五塵・六欲も貪染するに暇あらず。
と。人道かくの如し。実に厭離すべし。


●天道●

●人道●

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●修羅道●

●地獄道●






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